名山クラブ通信

名山クラブ通信3月号

2021年3月号(VO L 2 20)

発行 登山ガイド事務所カメラード
主宰 佐藤健二(JMGA認定G)

「山の話あれこれ」・ ・・区切り

安定した勤め人から独立創業し、代表を務めて二十四年。後任に経営を託して六年が過ぎた。二十四年の間には深い谷に迷い込み、通信を中断した時もあったが「努力とは誰よりも長く続けること」(WMCの言葉)「成功は諦めず続けること」(松下幸之助)「下手な字ほど味わいを感じる」(WMCの言葉)それらの言葉を励みとして続けた手つくり通信が2 2 0号。ーつの区切りを迎えた。
郵送する度に内容の乏しさを感じる通信が、ファイルに綴っているなんて言われると、能力のなさが積み重なるようで恥ずかしさの極みだが、嬉しくもある。手紙や葉書は前文に、つつしんで申し上げますの「拝啓」から始まり、つつしんで申し上げました「敬具」で終わる。このように相手を敬う気持ちが込められた手紙や葉書を受け取った人は、手紙や葉書を処分することなく文机の引き出しに収める。
そのような気持ちを込めた手紙や葉書ではないのに、ファイルに閉じているなんて言われると恥ずかしくもその気になる。
どんなことでも褒められた当人はその気になり、さらに努力を重ね、本物に化ける。だから、褒めて育てろと言われるのだろう。まさにその気の2 2 0号だが、いつまでたっても相も変わらず・・・
通信機器や通信網が発達し、メールやラインによる連絡通信が便利。通信料金の軽減もあり、その仲間入りに参加し、便利性の恩恵にあずかっている。
雨具・ヘッドランプ・通信機器は登山装備の三点セット。特に通信機器は位置情報機能もあるようで、時として命を救うことにもなる。半面、頼りすぎると有形無形の落とし穴に。緊急事態が発生した時の救助隊頼み。電池切れや故障に対処不能。自力脱出の技量を積む努力を怠る等は有形の落とし穴。
美しくもある日本の伝統である尊び敬う心の喪失。生きていくうえで人との信頼感が薄れるなどの無形の落とし穴。と言ったら言い過ぎか!
WMCの教えにある「手マメ・ロマメ・足マメ」は手間を惜しんではいけないと云っているのだろう。区切りに悩む名山クラブ通信です。

今回も目を通していただき、ありがとうございます。          感謝

・・・・・・山の思い出・・・・・・

「熊との遭遇」
二股山
二股温泉を起点に時計回りで林道を進み、登山ルートに踏み入れて3 0分。
まもなく伐採地の平場に出る曲がり角。正面は見通しの利かない藪が立ちふさがる。
その薮に近づいた途端、ウッウ~とドスノ利いた唸り声・・・熊だ・・・
熊も藪に隠れた我々に気づかなかったのだろう!藪を挟んだ数秒間は熊も身構えていたに違いない。

大白森山
1 2月に入り、稜線は薄っすらと雪に被われている。二股温泉の登山口に止められた軽トラックの持ち主はいかにも猟師の身なり。
言葉を交わすと、隣接する西郷村からの出稼ぎ?熊打ちとの事。
熊・・いっから気つけでない!に送られ入山すると・・真新しい足跡が尾根を横切っている。こちらから見えなくても、熊は我々を察知していたに違いない。
姿こそ見せなかったが、プレッシャーは充分。

大雪山「旭岳」
花も盛りの大雪山系最高峰。旭岳から黒岳に向かうルートは花に被われ、クライアントも大満足。北海道の屋根と花を満喫しながら黒岳石室の手前の北海沢に近づくと、外国からの登山者が双眼鏡を差し出し、見る方向を指さす。
跳ね回るように戯れていました。双眼鏡からその怖さは感じないが、ヒグマが戯れている場所は、今から向かう北海沢のすぐ脇。幸い遊びに夢中の熊を脇目に沢を渡る。気持ちに余裕が出たのか、じっくり眺めた初めてのヒグマでした。

霞沢岳
ガイド山行の下見は徳本峠への古い道。二股から人っ子一人いない南沢沿いに登りだし、無人の岩魚留小屋までもう少し。半渇きのべンチに腰を下ろし、今日最初の一服。沢を流れる水の音の他、耳に入る音はなく返って五感が鋭くなる。イヤーな感じに後ろを振り向けば、こっちを疑いの目で見ている子熊が。
目と目があった瞬間サッと逃げ出したが、親熊も近くにいると思うと一服どころではなくなる。

船形山
登山口の駐車場を目の前にして、道路を横断する黒い物体。一瞬犬かと間違うがまぎれもなく熊。車中からで怖さより可愛さを感じるが、子熊の傍に親ぐまあり。

名山クラブ通信2月号

2021年2月号(VO L 2 19)

発行 登山ガイド事務所カメラード
主宰 佐藤健二(JMGA認定G)

「山の話あれこれ」・・・もう一つの楽しみ

収まる気配のないコロナ禍で迎えた2021年。ご多分に漏れず出かけることもなく、持て余す時間を活用し会津地方を除いた県内で名前の付いた三角点のある低山(標高1 3 0 0m以下)を拾い出してみた。その数2 2 5。これに拾い漏れと会津地方の山を加えたら倍は行きそう。確か、県単位で山の数が多い順番は北海道・新潟県・岩手県・長野県に次いで5番目だったと思う。
ガイドオフの1 1月から始めた低山歩きは、子供のころの遊びであった探検こっこ、学校をさぼり友達同士で作った秘密基地での栗拾いなどが蘇る。
今は、事務所に出かけた振りをして山に出かけ、地形図を左手にコンパスを右手に持ち、道なき道を探検するように山頂を目指す。例え山頂からの眺望が得られなくても三角点を見つけたときは秘密基地にたどり着いた自分だけの頂。
下界が眺められたら、それこそお山の大将気分。
低山の多くは名前がついていても人知れない山で、山頂には山名を示すものは無く三角点があるのみの山が多い。これが、誰でも知っていて登山道が整備され、山頂からの眺めが良く、多くの登山愛好者が楽しむ低山とは一味違う。
このように山名があっても、その印のない山頂に山頂の印を付けてあげたい。立派な印でなくザックに入る小さな板でいい。〇〇山の文字が風雪にさらされ消えてもいい。
山があるから楽しめ、山があって、山に登る人がいての登山ガイド。だがそれだけではないだろう。
東京都と隣接する三県に緊急事態が宣言された。主にアルコールを提供する店がその対象だが、宣言はそれ以外の県に住む人たちの心理に影響を与えるだろう。コロナに打ち勝つ!なんて云われているが、私たちにできることは体を鍛え免疫力を高め、心身とも健康体でないと打ち負かすことは出来ないかもしれない。自粛疲れでストレスを溜めては血糖値が上がる病が心配になる。
今の季節、大概の山は静かです。大きい山でなくても楽しめる山に目を向けてはいかがでしようか。来るシーズンに備えるためにも低山歩きで足腰を鍛える一石二鳥を楽しみましよう。
今回も目を通していただき、ありがとうございます。         感謝

・・・・・・・山の思い出・・・・・・・

「丹沢山の出来事」

塔ノ岳の山頂は噂に勝る登山者が。その大半がカラフルなウェアーで、男の目を狂わす。対し、男たちの多くが地味に見えるのは仕事に疲れているのか、登山に疲れたのか!目の前に聳え立つ富士山を見上げている男たちの顔はロを半開きに開け、呆けたようだった。
下山時のことだった。メインルートから外れ、長尾尾根に入ると山頂の喧騒が嘘のような静かさ。
その静かさの中、私を追いかけるように一人の親父が。何かと話しかけてくるが聞きたいことはルートの確認。何所どこにと言われても丹沢が初めての私には? ? 地図を確認すると、何所どこは1 8 0度の方向違いと判明。
再び静けさの中を下ると登山道は、左〇〇右△ △の分岐に。進む方向は左だが地図で確認すると・・・? ? 左〇〇が地図上にない。
落ち着けと自分に言い聞かせ、たばこを取り出す。

*喫煙者の肩身が狭くなった世の中ですが、トラブル発生時に必要なのは何より冷静になること。水を飲むなりストレッチで体をほぐしたりして、心身ともリフレッシュ。

「中央アルプスの出来事」

千畳敷のゴンドラ駅は濃い霧に包まれていた。その霧の中を〇〇方面の案内にしたがって宿泊予定の山小屋に着いたが、何故か別の山小屋を教えられる。
教えられた小屋に荷物を置き、木曽駒ヶ岳の頂上を踏むが、この後の下山が・・特徴のない山稜と一段と濃さを増した濃霧。たった今歩いてきた登山道が分からない。ただ足元の踏み跡だけが頼り。不安を抱えながらの木曽駒登山。
からりと晴れた翌日。北アルプスや南アルプスの山並みを眺めながらの縦走は昨日の不安を消し、ルンルン気分。次の目的である空木岳がどんどん近くなる。
もう一泊の予定を変更し一気に下山路に入るが、登山道に座り込んだ人が!
意識があり話を聞くと、無人避難小屋に宿泊するのに、水を調達するため水場に行ったが場所が分からず、気が付いたら谷底まで下り、登り返すことが出来ず谷底で二日間過ごし、最後の力を振り絞りやっと登ってきたとの事。空腹で荷物を置いた小屋に登り返す気力もなく、登山者の来るのを待っていた・・

*北アルプスや南アルプスと比較すると登りやすそうに感じるが、三千mの稜線は同じように厳しい。数年前、韓国の登山者が集団遭難した中央アルプスなめてはいけない山並みです。

 

名山クラブ通信1月号

2021年1月号(VO L 2 18)

発行 登山ガイド事務所カメラード
主宰 佐藤健二(JMGA認定G)

「山の話あれこれ」・・・丑年に思う

丑年の特徴を調べると、総じて努力家で規則や伝統を重んじる。スロースターターだが始めると最後までやり切らないと気が済まない努力家で働き者とあり、団塊の気骨をイメージさせる。この世代の人たちは、山の持っ魅力と相まってか、日本百名山踏破を目指す人も、そうではない人も努力を惜しまず、真摯に山と向き合う人が多いように見受けます。
山には馬の背と牛の背と呼ばれる稜線がある。イメージの通り、馬の背と言われる稜線は左右が落ち込み、登山ルートが馬の背中状態。牛の背と呼ばれる稜線は広々とたおやかで、気持ちの良い稜線だが、山の機嫌が悪いと道迷いを起こしかねない場所でもあり、放牧場でノンビリ草を食む牛から、闘牛場の荒々しい姿へと変貌する同じ牛とは思えない、油断ならない面がある。
寅年の自分の性格を顧みると、丑にも馬にも当てはまらないような気がする。
さて、山に親しんで数十年。登山ガイドを始めて七年だが、その七年はクライアントの皆さんの喜びを喜びに、無言の叱咤激励を励みにした七年間であり、趣味の登山とは一味違う山の奥深さと人の心を感じる感謝の七年でした。
2 0 2 1年が皆様にとって健やかな一年であり、好い思い出が残る一年になりますことを祈願すると共に、旧年同様のご指導ご鞭撻をいただければ幸いです。
閑話休題・・・出会い
ガイドオフの期間を利用し西上州の山から県内の低山に趣を変えた。そのきっかけは、名も知らない人との出会いからです。
丹波楯山(天栄村)の登山口を示す小さな案内脇に、田舎の低山に登るためとは思えない川崎NOの軽ワゴン車が一台。その持ち主と思われる人と山中で出会い、しばし雑談。聞くと、地形図に名前のある関東の低山全てを登り、昨日から福島県の低山に挑戦。昨日は権太倉山、妙見山、天栄山に登り、この後烏峠に登り須賀川に行くとの事。・・天栄山? ? ?福島の人間だが、天栄山が知らない。名前の知れた山だけで満足していた私にとって大いなる刺激。
早々に地形図とにらめっこ。 とりあえず登山道の破線のある山、神社や電波塔のマークが示された山を拾い出し、その魅力に魅せられています。
今回も目を通していただき、ありがとうございます。                感謝

 

名山クラブ通信12月号

2020年12月号(VO L 2 17)

発行 登山ガイド事務所カメラード
主宰 佐藤健二(JMGA認定G)

「山の話あれこれ」・・・ガイドの思い

「会社の敵をつくらない」残り一枚になったカレンダーに記載された文章です。企業経営者の戒めの言葉ですが、補足として「人一倍努力はするが、無理をしない、見栄を張らない、自信ないことはやらない」そして「身の丈に合った成長を目指す」と記されている。
これらの言葉を登山ガイドの立場に当てはめると、安全に対する努力を惜しまない、余裕のある計画を立てる。常に謙虚であること、虚勢を張らない等に当てはめることができると思う。
考えるまでもなく、体力は落ちる一方。若さで補える年齢ではなくなったことを直視しないと自然を敵に回すことになる。例え巧く行ったとしても、次回は牙を剥いて来るかもしれない。そして恐ろしいのは、巧く行ったことによって芽生える内なる敵。まさに目には見えない自然界の脅威と内なる脅威を常に意識し、安全の努力を惜しまず、計画に余裕を持たせる。自然の中での人間のカなどたかが知れている。山に登らせていただいているとの謙虚さこそがクライアントの安心感に繋がるのだろうと思う。
今年の登山シーズンが終わりました。クライアントの皆さんから来年の希望も届けられる年末です。協力をお願いしたアンケート調査の結果は、未踏の日本百名山や日程的にも困難な山域を希望する人が多い。この人たちの大半は私と同年代。希望とした山々に思い浮かべれば是非案内し、山頂からの素晴らしい眺望を一緒に楽しみ、あ~頑張ってよかったとハイタッチ。良い事のみのイメージが浮かぶ。
だからと言って即計画には躊躇する。安全を最優先し、余裕を持たせた日程と移動距離(時間)の関係は塩梅が難しい。実際の登山中の指示判断の基準原則
「何が一番安全なのか」を都度判断し、ハイレベルの信頼関係を結んでいき、登山がさらに楽しくなるようにしなくてはと思う今日この頃です。
コロナに振り回された一年でした。百名山踏破を足踏みされた方も多いかと思いますが、山は無くなりません。無くなるのは体力です。例年以上に体力を維持する努力が求められています。目標があれば努力も楽しくなります。
今回も目を通していただきまして、ありがとうございます。感謝

振り返ると・・楽しかった思い出

山の話が始まると際限がない。話をしているうちに思い出が次々浮かんでくる。
話す方は得意になって話すが、調子に乗るといかにもが鼻についてくる。
こうなると相手は退屈になり、 ところで!今年一番の思い出は?に話が・・

「八甲田大岳」・・主催福島交通観光9月1 5~ 1 6日

宿泊先の酸ヶ湯温泉は湯質や湯量の多さ以上に混浴が楽しみ。早々に大浴場に入ると、いました!残念ながら彼氏と一緒でしたが一緒の湯舟に浸かり、二人の会話に耳がダンボになったガイド。
翌日はメインの八甲田大岳。草紅葉に色づいた毛無岱をノンビリと。誰からとなく歌声が上がる。帰ってこ~いよ~・・帰ってこ~いよ~・帰って来いよ~ 一緒に歌いたいのを堪え、そっと口ずさんだ八甲田毛無岱での思い出です。

「磐梯山」・・福島市白石小学校        1 0月1 3日

小学校5~ 6年生6名に引率教諭3名が卒業記念の磐梯山登山。
初めての小学生のガイドで、いつもと違う感覚を持ちながら自己紹介。集中する1 8の眼が眩しい。何が幸いするかわからない。冷たい風に身をすくめた山頂を後に下山を始めると、強い風に雲が流され、雲間に裏磐梯の湖沼群が。
わ~すごい・・あれ・あれ・・あれ見て・・この感動を素直に表す子供たちが、何かを思い出させた磐梯山でした。

「山の幸」    5月吉日

いつもと違うルートと思い、地形図と周辺の地形に気を配る。が、目に入るのは一面に伸びだしたワラビ。一般ルートはこのワラビの群生地手前の案板から入山するので、ワラビが伸び放題。下山後の楽しみだが、採られないか心配の・・・岳でした。

「山の幸・・2」 5月吉日

下見登山で南会津の山に。この時期の入山者はゼロ。目覚めた熊が心配だが、笹竹が広がる登山道にタラの木が乱立。一人登山の気楽さで笹竹を掻き分け、一番芽のみ採取。
急登と岩場に難儀しながら、ふと岩棚を見ると色あせたお札が一枚。合掌。
山の恵みにルンルンで下山に入ると今度は一面にコシアプラ。アラもったいない!あるだけのビニール袋を出すが足りない。あ~もったいないと後ろ髪をひかれる・・・山でした。

名山クラブ通信11月号

2020年11月号(VO L 2 16)

発行 登山ガイド事務所カメラード
主宰 佐藤健二(JMGA認定G)

「山の話あれこれ」・・・シーズンを振り返って!

1月:大小山(登山教室)那須朝日岳(積雪期実践教室)
2月:岩山・子持山・黒滝山&鍬柄山(登山教室)
3月:久慈男体山(登山教室)・三つ峠山(名山クラブ)
4月:七ツ森山(登山教室)・二ツヤ山(登山教室)・金塚山(登山教室)
5月: 権太倉山(プラ山行)・唐倉山(下見山行)・庚申山(名山クラブ)乳頭山(下見山行)
6月:志津倉岳(登山教室)・秋田駒&乳頭山(名山クラブ)
7月:白馬岳縦走(名山クラブ)・利尻岳(名山クラブ)・鹿島槍(PKK) 妙高山(下見)
8月:鳥海山(名山クラブ)・妙高山(名山クラブ)
9月:奥穂高岳(名山クラブ)・岩木山&八甲田大岳(PKK)・草津白根山(名山クラブ)
1 0月:立山三山(名山クラブ)磐梯山(磐梯青少年交流の家)・蔵王熊野岳(登山教室)・大菩薩嶺(PKK)

今年はCORONAの影響によって例年の半分以下の山行だったが、どの山旅も例年以上に思い出深い山旅になりました。利尻岳は五年振り。無雪期の奥穂高は十数年振り。半面、初めてトライする西上州の山々は低山だが岩場が連続し、いつもより気持ちを引き締めての登山だった。また、登山回数が減った分だけ山が新鮮であり、参加者の歓喜がガイドの心を新鮮にさせた。
そして、主宰する名山クラブを通じて二人目の日本百名山踏破達成者が生まれたことは、登山ガイド事務所として誇りに思う。
登山ガイドの使命・目的の一つに「登山未経験者、登山の機会に恵まれない人たちに山との出会いを提供し、確実に楽しく実現してあげる」とある。
この条文にある「確実」は頂に到達させる以上に、無事下山させることを意味していると考えると、すべての山行が何事もなく下山できたのが嬉しく、参加者の皆様には心から感謝しなくてはならない。
来シーズンも山は変わりなく迎えてくれるでしよう。自然はすごいですね。
今回も目を通していただきまして、ありがとうございます。      感謝

 

名山クラブ通信10月号

2020年10月号(VO L 2 15)

発行 登山ガイド事務所カメラード
主宰 佐藤健二(JMGA認定G)

「山の話あれこれ」・・・・何ってらっしゃい

夏山のトップシーズンが終わり紅葉に染まる間、静かな山が戻る。その静かな山がコロナウイルス感染を危惧する人たちが入山を控えていることと、少ない入山者の中にはマスク姿の人も少なくなく、今年の山は特に静かだ。特有の「こんにちは」の挨拶も返答もなく黙々と登る人。冷えたビールで至極の数分を楽しむが、山小屋の夕食時間は談話もなく、空腹を満たすだけの食事。まるで通夜ふるまい。仕方がないことだが、辛かった登りを頑張った褒美を感じることも、癒してくれる味わいもいまいちだ。
山登りの気遣いの一つに登り優先がある。辛い登り坂を上っている人に対し、下っている人が道を譲り、登って来る人のペースを乱さない心遣いだが、登っている人にとって交差する時のわずか数分は、情報を入手する時間でもある。
また下る人にとっては、これから上る人への思いやりの瞬間で、心が丸くなる時でもある。今時に入山する人の大半は山慣れした登山者で心が通じる。特に日本アルプスの冠の付く山並みには単独の女性や女性同士の登山者が多い。この人たちの大概は山の挨拶に快く応え、素晴らしかった景色を報告し、行ってらっしゃいと元気を与えてくれる。これから上る人に対して、辛かった登りに堪え無事下山する人との交差するわずかな時間の後の「行ってらっしゃい」は汗ばんだ肌を撫でていく風の様に気持ちが好いものです。
さて今年の登山シーズンもコロナ騒ぎが落ち着かないままに終盤になります。北海道の山々から始まる紅葉も下旬には本州の山々を彩ります。この季節を楽しみにしている方も多いかと思いますが、台風が列島に襲いかかる季節でもあります。特に最近の台風は大型化の傾向が著しく、目指す山が台風の進路から離れていても影響は避けられません。標高の高い山は平地に比べ天候の崩れは早く回復は遅いことを意識し、余裕のある日程で登山を楽しんで下さい。梅雨時の大雨で登山道も荒れ、通行止めルートも多いです。また、登山を自粛していた人たちは、登山靴の点検をお忘れなく。古い靴や、長期間下駄箱に収納したままの登山靴はソールの接着剤が劣化していることが多いですよ。

 

名山クラブ通信9月号

2020年9月号(VO L 2 14)

発行 登山ガイド事務所カメラード
主宰 佐藤健二(JMGA認定G)

「山の話あれこれ」・ ・・スマホデビュー

山用のカメラを新調しようと価格調査に。当然だろう。訪れた数軒の家電量販店の表示価格は似たり寄ったり。どの店で購人するかは値引き次第だが・・ふっと新たな思いが頭をよぎる。
観天望気に頼っていた天気予報。地形図と周辺の地形とを見比べての現在地の確認。予定通り、計画通りこのまま進んで問題ないか!山行中に求められる諸判断の精度を高めるために「スマホ」に切り替える手もあるな・・・・!
いずれガラ系は来年までの使用期限とも聞こえ、いい機会と思うしかない。
操作に不安は残るが、卓上パソコンの操作と大差はないだろうとスマホ購入。
晴れてガラ卒業だが、着信電話に対応できず電話が切れたり、いろいろ操作していると相手かまわず発信したりだが、夜中に鳴るポーンには閉ロする。
このポーンに目覚める事数夜。知り合いの誰もが便利と利用しているラインは自分にはどうでもいい事も時間に関係なく繋ぐ。ネット情報もまたしかり。
最悪なのはポーンに反応しなくなると同時に、電話着信音にまで拒否反応を起こす。
そのようなスマホ初心者は、白馬岳から唐松岳縦走ツアーで、道路の通行止めを知らせる電話まで拒否してしまう。知ったのは白馬村に着いて登山口へ向かうバスに乗るとき。当然、予定している行動は変更せざろう得ないし、明日からの行動にも支障をきたす。何より今夜の宿泊先を確保しなければならない。
スマホを上手に使えば便利さこの上ないが、相手の都合とは関係なく受信する便利?さに流されてしまわないようにと思うと共に、手間暇かけることの大切さを教えてくれるスマホデビューです。
さて、登山装備の基本は「雨具・ヘッドランプ・通信機器」と言われています。通信機器の重要性は、アクシデントに見舞われた時の連絡手段として有効であるばかりか、各種の最新情報を得るうえで優れており、登山者の多くがポーチに人れ活用していますが、道迷いを防ぐための現在地を知り、次の目標を確認する基本は読図をマスターすることです。五感を刺激した登山を楽しむためにも地形図と合わせた活用をお勧めします。
今回も目を通していただき、ありがとうございます。

 

名山クラブ通信8月号

2020年8月号(VO L 2 13)

発行 登山ガイド事務所カメラード
主宰 佐藤健二(JMGA認定G)

「山の話あれこれ」・・・・晴読雨読

楡周平の小説が面白い。事務所で過ごす時間が長くなり、晴読雨読の日が続く。読む本に特別な拘りはなく、手にした本を数頁読んで決めるのが常。
そんな中で手にした楡周平の本は組織に所属する人には、立場の違いを超え参考になるかも。現役時代に教えを請うたことが随所に示され、単なる経済小説ではなく、教えられることが盛りだくさん。人口減少に伴って経済が縮小する時代を迎え、企業は元より国の将来を見据えた経済の構築は、国の借金が増え続ける中で、現役を引退してもうなずくこと多。
とは言っても、著者の本を手にしたのはたったの二冊。でも二冊だけで読者を虜にするのだから、楽しみが増える。 「国士」「T刊N」を読んで。
閑話休題
七月も二十日前後になると梅雨があけ、夏山本番を迎える。待ちかねていたハイカーがハイマツの深緑とその緑色に一層白さを際立たせる残雪の稜線を楽しむ。
遠くに連なる山並みを眺めれば、沸き立っ夏雲が。足元には咲き乱れる高山植物。羽の色を夏色に変えた雷鳥の親子が、登山道で砂浴び。吹き渡る風さえ優しい夏ならでの出会いで山が迎える。
梅雨明け十日は好天に恵まれる!山好きには常識だった例えが、地球の気温が上昇するに従って梅雨明けが遅れ、ややもすると梅雨が明けないまま夏が終わることも珍しくない昨今だが、山は変ることなく聳えている。
昨年、福島県にも甚大な被害をもたらした豪雨が今度は、北九州から中部地方に甚大な被害をもたらす。線上降雨帯が直接の原因との事だが、毎年の様に発生する線上降雨帯や竜巻は、地球の気温が上昇高止まりする限り発生頻度も高まるのだろう。これからの夏山は、今までの夏山の常識は通用しなくなるのだろう。
県を跨ぐ移動自粛が解除され、名山クラブツアーも夏山本番を迎える。参加者は百名山踏破目前のべテランから、登山教室で山に魅了された人、再認識した人達だが、安全第一に魅力を堪能できる山旅にしなくてはならない。
今回も目を通していただき、感謝

 

名山クラブ通信7月号

2020年7月号(VO L 2 12)

発行 登山ガイド事務所カメラード
主宰 佐藤健二(JMGA認定G)

「山の話あれこれ」・・・・登山教室の役割

1月から始まった今年の「大人の山学校ュルュル登山教室」が6月講習を終え予定通り全日程を終了した。
登山教室開催の目的は、登山ガイドの使命(目的)である登山をしたいが機会に恵まれない人たちに自然・山との出会いを提供し、体験する喜びを与え、その夢と希望を確実に楽しく実現可能にすることにあります。
と同時に、登山リーダーには山に案内するだけでなく、登山中の事故を未然に防ぐ危険察知能力と事故発生時の対応力が求められます。
それらの安全に関する技術や事故発生時の対応方法は、事前の学習がないと対応が取れないのが普通であり、万が一自分が窮地に陥ったときの脱出の頼りになるのも事前学習であり、唯一の手段となる。
道迷いから脱出、思わぬ怪我のファーストェイド、緊急露営で一夜を過ごす、雨で濡れた岩場を安全に通過、雷の対応等々大自然には思いもよらないことがたくさんあります。
半面、沈みゆく太陽が染める雲と峰のシルエット、夜空を埋め尽くす星、遥かな雲と空の境に滲みだす暁等々、誰もが感動する時の流れも大自然だからこそ。これらの感動が生涯の良き思い出に残すためにも、リーダーには登山を安全に終わらせることと、その技術を登山初心者に伝える義務があり、参加者は非日常の自然に潜む落とし穴を知り、自分の身を守る心構えが大切です。
しかし、何より大事なのは下山するまでの体力です。新型コロナ騒ぎで不要不急の外出を控え、筋力は減退し、夏の暑さに慣れないまま夏山本番を迎えます。今年の夏山は例年以上の脱水対策が必要です。水分補給と塩分補給をこまめに行い、夏山を楽しみましよう。
「必要水分量の目安= 5 x体重(ザック重量含む) x行動時間」
* 5・・呼吸によって口から失う水分量
*汗は水分と同時に塩分も出します。水分を補給することは体内の塩分不足を加速させ、体調の異変を起こします。汗で失った塩分補給は重要です。

 

名山クラブ通信6月号

2020年6月号(VO L 2 11)

発行 登山ガイド事務所カメラード
主宰 佐藤健二(JMGA認定G)

「山の話あれこれ」・・  ・無題

例年ですとGWは下見山歩きを楽しんだり、しばらく登っていなかった山を楽しんでいたりしていたが、他県へ出かけることが儘ならなかった今年のGW
「亭主元気で留守」を厳粛に守っていた生活が崩れ、春眠暁を覚えずではないけれど、だらだらと惰眠をむさぼり、三食昼寝の生活に気持ちの張りが細くなる。
登山ガイドはクライアントを山に案内してナンボの世界だが、登山そのものは不要不急に最も近い趣味の世界。GWが終わっても、当分の間は登山を楽しむ気分になれない人が多いだろうが、プロのガイドとして体調管理、計画したツアー登山(FKK含む)参加者を安全に案内するための下見登山は仕事の一つ。特に、近年日本列島を襲っている複数の大型台風による登山道の状況確認は大事な仕事。たとえ計画したツアーが中止になろうとも、その準備だけはしておくのが仕事だが、その準備が思うようにできない。
さて、登山のトレーニングは登山を実践するのが一番ですが、その機会を奪われた人たちも多いかと思います。標高の低い山でも、近くの里山でも定期的に歩く(上る)ことが実践トレーニングになります。本番と同じような登山装備品をザックに入れ、足元を整えれば気分も高まります。お勧めです。
そんな状況を利用して、購入したまま開いていない書籍「遥かなる未踏峰上下
( j・アーチャー)」を読み、新たに購入した書籍「結ばれたロープ(ロッシュ)」
「山岳遭難の傷跡(羽根田浩)」に加え二十代に読んだ「峰の記憶(渡辺淳一)」「風の遺産(新田次郎)」などを読み直してみた。
その中で「結ばれたロープ」は登山を趣味とする人の中でも、登山ガイドを雇って高山を目指す人にとっては、登山ガイドの役割。登山ガイドを家業とする人にとって、ガイドの責務と責任を改めて感じさせると共に、人間性を磨くことの重要性を教えてくれたお勧めの一冊です。
また「山岳遭難の傷跡」は、すでに報告書として書籍になっている事例を深堀し、表には出なかった事故要因や背景が書かれており、ガイドにとって忘れてはいけない事を改めさせる書籍でした。
新緑が山々を覆っています。風も爽やかです。頑張りましよう!感謝

 

名山クラブ通信5月号

2020年5月号(VO L 2 10)

発行 登山ガイド事務所カメラード
主宰 佐藤健二(JMGA認定G)

「山の話あれこれ」・ ・不要不急を楽しむ

連日新型コロナの感染者が発生している。何をいまさら!と思っていても、各種イベント中止と不要不急以外の外出自粛が毎日のように流れ、自粛ムードが広がり心配になってくる。名山クラブ2 0 2 0の参加キャンセルも出てきているが、自己防衛のためには仕方がないことと思う。
2 0年前になるが、インドを旅行した時の思い出が重なる。 ニューテリーの空港に着陸した旅客機が、ターミナルに近づくと生ぬるい空気に混じって充満しだす独特の匂い。ターミナル内トイレを利用し手を洗うと差し出された手拭き用のペイバー(有料)。目的地へ移動するバスのシート上に列をなしているアリの大群。世界遺産の遺跡を楽しんでいる女子学生たちは美人揃いだが、近づくと香辛料の強烈な匂い。そしてウンコが山になったトイレ。雨季の季節で、野良牛がウロウロする歩道は、排せつ物と土がこね回され田んぼ状態。その歩道に掘られた井戸水を生活水に使う人々。絶対に生水を飲むなは!納得
早朝の散歩が好きでホテルを出ると、歩道に隙間なく横たわる人の列には、息をしていないと思われる人が混じっている。
そんなインド旅行に参加した九名(私を含む)の内、八名が下痢を起こす。
同じ空気を吸い、味の違う数種類のカレーを同じように食べ、埃となった野良牛の糞を身体に浴びたのに。ただ一人、朝起きるとホテルの水道水を飲み、物珍しく、誰も手を出さない食べ物?を口にした私以外の全員が。コレラを疑われ、帰国後に隔離検査されたその人たちは全員私より若かった。
新型コロナウイルス感染が世界中に広がっている。予防は人との接触を避ける以外になさそうです。不要不急以外は出歩かないようにと盛んに云われるが、ネット社会に馴染んだ人ならいざ知らず、このままでは精神衛生は悪くなる一方です。
閑話休題
不要不急ではないが、行きつけのスナック。閑散としているのを好いことに三席隣の客とマイクを握りあう。滞在時間二時間はささやかな自己防衛。
ママとの付き合いは3 0年。夜のコミュニテー無くして、人生の楽しみなし。
人生・・ケセラセラ。誰でもいつかは死ぬ・・早いか遅いかの違いだけ。
大事なのは、行きつけの店がつぶれない事。

 

名山クラブ通信4月号

2020年4月号(VO L 2 0 9)

発行 登山ガイド事務所カメラード
主宰 佐藤健二(JMGA認定G)

「山の話あれこれ」・・・心配と疑問

連日、コロナウイルスに関連するニ=ースが流れ、過剰とも思われる買占めが全国に広がる。いささか辟易感を覚えるが、各種のイベント中止に混じって旅行ツアーのキャンセルが多発している話を聞くと、心配になってくる。
専門家が伝えるウイルスの影響がない、登山やトレッキングッアーが、観光地を巡るツアーと同じように敬遠されないか!
幸い、名山クラブ登山ツアー参加申し込み者からのキャンセルはないが・小中高校が3月2日から全国一斉に休校との総理の唐突な発言に、関係者が戸惑っている。特に小さな子供のいる家庭や、共働きの家庭は対応に苦慮している。普段の生活に即影響するから、当事者は大変だろう。しかし、不思議だ!
コロナウイルス感染者が増えるにしたがって、発生地の武漢から邦人の救出は理解するが、なぜ無料なの!武漢に滞在した人たちの大半は、仕事で武漢に滞在した人たちではないのか。言い換えれば、勤める会社の業務命令で出張しているはず。航空機のチャーター料は税金で負担しても、通常の渡航費は当然、企業が負担すべきでは・・。桜の問題もモリカケモも普段の生活に影響はない。
では済まされない問題の根源がここにあるような気がする。
コロナウイルスに隠れる、東電福島原発事故で増え続ける汚染水処理問題。
汚染水を薄め海に流すのが現実的で、地元関係者との協議を進めると報じられる。しかし、疑問だ!汚染水の処理問題の前に、あの凍土壁の効果はどうだったのか!このままでは汚染水が増え続け、保管タンクは後何年と伝えるところを見ると、凍土壁は失敗だったのだろうと想像するが、その検証無くして汚染水の海の放出はないだろうと思う。そうでなければ、廃炉を完了するまでの期間は垂れ流し!それも汚染水を稀釈することなく。
二十数年間の企業経営で学んだことに、経営者たる者が、社員に信頼されないで企業の発展はないとの事。業績の好い時にインセンテプもなく、業績が振るわないときだけ社員に協力を求めても、納得は得ないだろう。いい時も悪い時も実態を公表する度量がトップには求められるのでは。
登山においても、迫りくる危機をリーダーとパーテー全員で共有すれば、その危機に対する回避方法も役割分担も明確になり、危機を脱出する可能性が大きくなると思う。

 

名山クラブ通信3月号

2020年3月号(VO L 2 0 8)

発行 登山ガイド事務所カメラード
主宰 佐藤健二(JMGA認定G)

「山の話あれこれ」・・・登りたい山と登れない山

先月の「エベレストより高い山」の続きではないが、登りたいけど・・登れない山がある。技術・体力・経済力・時間・登山ルートの問題・パートナーカミさんの許可・ ・登れない理由を考えると、次々に浮かんでくる。
もちろん、私自身にヒマラヤの高所に挑むだけの技術はないし、体力も落ちる一方。何とかなるのは時間だけ。
時間はあるが、年金暮らし。蓄えは二千万円にほど遠い。カミさんの冷ややか・・いったら ・」は、倍返しが来るようで・ 苦肉の策はカミさんを誘うことだが「そんなお金・・あるの!」と藪蛇になりそう。
三浦雄一郎さんは、ェべレストに登ると決意した時には、札幌市郊外の手稲山に登る体力もなかったとか。映画会社(ワーナープラザース)の社長を辞めた男と、いっ破産してもおかしくないスキー場(ソルトレークリゾート)を部下に任せた男二人が、七大陸の最高峰を二年間で登ることを決心し、パートナーになったとき、二人とも登山経験はなかったとか。日本百名山の笠ヶ岳に初登頂し、道を開いた番隆上人。厳冬期のデナリ(マッキンリー)に単独行で挑んだ植村直己。シェルバが気の毒になって高所用ウェアーを差し上げたと云われる、女性初のェべレスト登頂者の田部井順子。
これらの人たちに共通するのは、ノー天気な性格なのだろうか・・・!
血液がB型なのだろうか・・・ !それとも、ヒットラーの様な独裁者・・・閑話休題
所属する福島登山ガイド協会(通称FMGA)の今年の活動計画が決定した。 FMGAの目的の一つ「地域への貢献」と、ガイドの使命である「登山未経験者、登山の機会に恵まれない」人たちへの機会の提供を、目に見えるものとして今年は「体に障害を持つ人達」を山に案内し、自然のすばらしさを五感で感じていただこう。生涯に残る思い出を増やしてもらうことを採択しました。
昨年取り掛かった、県内の山のルート難易度を表す「ルート定数表作成」が間もなく出来上がりますが、二つともゼロからのスタート。この二つの提案者ですが、「障害を持つ人」のガイド経験はなく、何が問題かさえ分からない状態です。アドバイスいただければ幸いです。

 

名山クラブ通信2月号

2020年2月号(VO L 2 0 7)

発行 登山ガイド事務所カメラード
主宰 佐藤健二(JMGA認定G)

「山の話あれこれ」・・・エベレストより高い山

山は高さ(標高)じゃない!常に思っていることだが、バカと煙ではないけれど、高さにあこがれる。今年こそ、長年思い続けていた6 0 0 0m峰に立ってみたい。頂から目の高さに続く高峰や、眼下に流れる氷河。息を切らしながら急峻な雪面を、ガイドに繋がれたロープを頼りに一歩一歩登る。旦那・・もうやめましよう!と言われるかもしれない事との闘い。
ネパールヒマラヤ山脈の地図を広げ、登れそうな山を探し、思いをふくまらす。
アイランド・ピーク( 6 1 8 9 m)メラ・ピーク( 6 4 6 1 m)クスム・カングル( 6 3 6 (m)これらの三座は登攀ルートが表示され、所在地もルクラ(カトマンズ空港から定期飛行で3 0分)から近い。特に、クスム・カッグルは人気の工べレスト街道(現地の生活道)から仰ぎ見ることができ、登山口には数多いロッジがある。アイランド・ピークは、8 0 0 0mに挑む人たちが高所トレーニングとして登る山で、各種の山の本に出てくる。専門のツアー会社が募集するくらいだったから、チャンスは大いにあり。そしてメラ・ピークに関する資料を読めば三座の中では、最も上りやすい山らしい!確かに、地図上のルートをなぞれば、全体に等高線の間隔は広く登りやすそうに見えるが・・・日本語に堪能なガイドは心配ないが、カミさんに何と云うか!高所に登る装備品を含め、お金はどうする・ ・!あれこれ考えると、念じても、思い続けても何ともならないのか!
地球上で一番高い工べレスト(チョモランマ)は無理としても、6 0 0 0mは登れるのでは、と思う根拠はない。が、工べレストの頂に立った最初の男、ヒラリーとガイドのテンジンだって、登れないとは思わなかったから挑戦したのだろうし、初登頂の栄誉を得た登山者のすべてが確証をもっていたわけではない。と屁理屈を考えるが・・・
しかし、この思いを「名山クラブ通信」に書くことは、まだまだ諦めてはいないと言うか、身の程を考えない馬鹿さ加減に笑ってしまう。
今年も、好きなことだけを考えるノー天気な生活が始まった。通信を読んでくださる皆さん、国内にも工べレストより高い山がまだまだありますよ!
元気で頑張りましよう。

名山クラブ通信1月号

2020年1月号(VO L 2 0 6)

発行 登山ガイド事務所カメラード
主宰 佐藤健二(JMGA認定G)

「山の話あれこれ」・ ・ねずみ年

真面目にコッコッと働き、倹約家で不要なものにはお金を使わない。
ネットで干支のねずみを調べると、そみって出てくるねずみ年の特徴だ。俺って寅年なんだけど!と思いながら続きを読む。倹約が過ぎるとケチとみられることも。勘が鋭くひらめきもあり、適応能力が高く、コミュニケーションがうまい・ ・とある。
団塊の世代の私は、生まれ育った時代は節約の時代。コッコツため込むなんてできるはずもなく、その日その日が食べることで手いつばい。小学生のころの小遣いは一日五円。その五円さえ両親にとって大変な苦労だったと思う。
倹約などは、生活に余裕のある家庭のことだったのでは!
新年早々、へそ曲がりの話になったが、節目の年を迎えました。
創業した会社(アースクリエイト(株) )が設立3 1年目を迎え、後継者へバトンタッチし、登山ガイド事務所カメラードを立ち上げて6年目に入る。
「分相応」「足るを知る」「良樹細根」は、尊敬するWMCのw先生に教えていただいた一部ですが、コッコッと働き、一歩一歩前進するねずみの年にふさわしい言葉です。
新しいカレンダーに「人生は未完に終わるもよし仕事のさなかで天寿を全うするこれが最高の人生」とある。
日本人男性の平均寿命が8 2歳と伝えられた。平均寿命まで1 0年そこそこ残りを考えた人生は、生かされてきたことへの恩返しの人生でなくては意味がない。かといって、特別なことができるはずもない。できることは、安全に登山を案内すること。登山を通じて、一人でも多くの人に素晴らしい自然を体感していただき、生涯に残る思い出作りと価値観を共有する人との出会い、仲間つくりのお手伝いなのだろう。この目的が、自身の生涯に残る思い出であり、出会いの人生になると確信する。そのために、健康管理、家族愛、感謝の心を大切にしなくてはならない。
「この道より我を活かす道なしこの道を歩む」この一年、 よろしくお願い申し上げます。  感謝

 

名山クラブ通信12月号

2 0 1 9年12月号(VO L 2 0 5 )

発行 登山ガイド事務所カメラード
主宰 佐藤健二(JMGA認定G)

「山の話あれこれ」・・・危機管理

今年のガイド山行が終わりました。今年は、残念ながら足首の捻挫や木道を踏み外し、腕を怪我した事故がありました。
①尾瀬ヶ原男性年齢8 0歳代(状況)よそ見し、木道を踏み外し腕の外傷。
②鳥海山男性年齢4 0歳代(状況)下山中、急峻な下り坂がおわり、平坦な登山道になった場所で足を滑らせ転倒。内くるぶしの捻挫、肩を強打。いずれも本人の不注意による事故だが、ガイドとして事前に防げたのではないかと思う。大概の事故は、どうして?と思うような場所で事故は起きるが、注意喚起が不足したのと事前に参加者の年齢(最高齢者)確認不足はガイドとして反省しなくてはならない。
また、全国的に見てもガイドが引率した登山で2 7件の救助要請事故が起きている。中にはガイド自身が負傷、死亡した事故もあるが、事故事例を見ると、ガイドの責任を含め、どうして?と思われる事故が多い。
事故を起こすと、ガイド依頼が無くなるばかりか、民事、刑事責任の他に道義的責任が一生ついて回る。ガイドの仕事は安全が第一であり、何より優先させその基本の元にクライアントの要望を如何にかなえ、満足させるかに尽きる。大概の人は、雄大な景色を目にして満足するし、ガイドはその景色を見せるための努力を惜しまない。しかし、山行中の八割は事故を起こさない事。二割は事故が起きたらを考えての行動になり、クライアントの要望と相反することもある。
よく、いつまでガイドを行うの!と聞かれる。70歳代で現役バリバリの先輩ガイドがいるが、経験では補いきれないのが体力。負傷して歩けなくなった人を背負えなくなったら終わりかな!いや、それ以上に判断力が鈍ったら・とりあえず来年1年間、事故を起こさないようにと思う昨今です。


あとがき
今年も「名山クラブ登山ツアー」「大人の山学校ゆるゆる登山教室」「ステップアップ実践教室」は、多くの方の参加をいただきました。この三企画は事故もなく終えたことは、参加者皆さんの協力があればこそで、心より感謝申し上げます。何かと忙しい時期を迎えますが、皆様には体調管理に留意されますよう。一年間、ありがとうございました。

名山クラブ通信11月号

2 0 1 9年11月号(VO L 2 0 4 )

発行 登山ガイド事務所カメラード
主宰 佐藤健二(JMGA認定G)

「山の話あれこれ」・  。体調管理

この一ヶ月で体重が5kgほど減った。思い当たる要因の一つに、禁酒がある。ステップアップ登山教室開催当日、右足の親指付け根が疼く。今までは左足だったが、その症状は紛れもなく痛風の発作。休むのはもとより、一週間後に予定している後立山連峰縦走までには治さないと!と断酒。
山行の出発時間は早く朝食時間も定まらず、朝食後の服用をしなかったことに登山中の水分摂取量の少なさ。目的地に着いたとき、 こぞとばかり飲むビール。登山は健康によくないかも(笑)
よく、山に登っても体重が減らない!むしろ、体重が増える!なんて話が出るが、消費カロリー以上に摂取カロリーが多ければ、当然体重は増す。思惑外れと思う山ガールは多いかも!
しかし、充分なカロリー摂取は元気の源であり、万が一道に迷ってビバークを余儀なくする場合いや、天候の急変などで体温が奪われるときなどに、体力が維持され耐久力に繋がる。
山での遭難事故で無事生還する確率の高いのは女性と云われているのは、無駄な動きをしないのと、普段のカロリー摂取量に関係するのかもしれない。
半面、体が登山に慣れてくると体脂肪を燃焼させ、エネルキーの不足分を補う体になり、消費カロリー量の八割程度のカロリー摂取で体力の維持が可能となり、体重が減る。だが、この状態では天候が急変し体温を奪われ時、体温を維持するエネルギーが不足し低体温。緊急事態に遭遇した時、生命維持に必要なエネルギーが不足し危機的状態を招くことに。
遭難事故が報道されるたび、万が一道に迷ったら動き回らないでその場に留まり救助を待てと言われるのは、動き回ることによる体力の消耗を防ぎ、生命の維持に必要なエネルギーを保っためで、遭難事故で多くの生命が奪われる要因の多くは、生命を維持するためのエネルギーを補充するカロリー不足が関係していると思われます。
だからと言って、登山シーズンのオフを迎えるこれからの季節、カロリー摂取量の多さは体を重くするだけ。来シーズンをベスト体重で迎えましよう。

 

名山クラブ通信10月号

2 0 1 9年10月号(VO L 2 0 3 )

発行 登山ガイド事務所カメラード
主宰 佐藤健二(JMGA認定G)

「話あれこれ」・・・山小屋

登山ガイドを始めてそれまでのテント泊が減り、山小屋に宿泊する機会が増えた。個人的にはテント泊が好きだが、クライアントを引率するにはそれなりのテントと炊事用具、寝袋などでザック重量も重くなり、予期しないアクシデントに遭遇した場合の対応に支障をきたす恐れがあるのと、クライアントが背負うザックも重くなり、行動に支障をきたす恐れを危惧すると小屋泊りになる。安全と安心を担保するには山小屋はなくてはならない存在。山小屋の存在も、登山者が安全に登山を楽しむためにと建てられ、登山道の整備や貴重な水の確保に努力されていると思う。
大半の登山者は、そのことを理解しているからこそ、いかに山小屋が混雑し、一枚の寝具に二人と割り当てられようが、宿泊費の割には粗末な食事でも我慢していると思う。しかし、一部の山小屋には違和感を覚える。
南アルプスでも人気の山である「甲斐駒ヶ岳や千丈岳」の登山口の小屋はその利便性で利用登山者が多い。多くの登山者は小屋に入ると、楽しかったその日の登山や、明日の登山の思いに馳せ、夕食時には喉を潤すものだ。
そんな時間を私も共有しクライアントと楽しく過ごした後、ご飯を食べようとしたらお櫃は空っぽ。そこで、スタッフにご飯をお願いすると・ ・お櫃に入っているでしょ・ ・と。空になっていると言ったら、何も言わずてんこ盛りのご飯をカウンターにドンと。味もそっけもないとはこのことだろう。
同じ小屋で、宿泊予約人数が少なくなった( 1名)知人は、何度も連絡したが電話が繋がらず、当日の報告になったらキャンセル料を請求されたとのこと。さらに、小言を呟いたら、支払ったキャンセル料を大勢の見ている前で投げつけられ、出ていけと言われたらしい。
また、同様に宿泊を断られ、バスで1時間の距離を歩いて下山した人や、この小屋にまつわる話は尽きない。
最近の山小屋は経費削減を図ってか、外国人スタッフや登山経験の浅い若者を雇うのは仕方がないことだろうが、スタッフ教育くらいはしつかりやってほしいと思う。お金を掛けなくとも、お客様の満足度を高める方法はいくらでもあるはず。赤岳山頂小屋の対応を見習ってほしいものだ。

 

名山クラブ通信9月号

2 0 1 9年9月号(VO L 2 0 2 )

発行 登山ガイド事務所カメラード
主宰 佐藤健二(JMGA認定G)

「山の話あれこれ」・・落雷
 雪渓や花畑を吹き渡る爽やかな風に空を赤く染めるタ日。登山人口がピークを迎え、予定した山小屋の宿泊予約が困難になっている。先日の鳥海山では、多くの登山者が宿泊を断られ、下山していた。この時期、昔の感覚で山小屋に入っては断られることは特別ではないらしい。
 さて、この時期の登山は特有のアクシデントが数多くあり、事故も多い。
暑さに慣れていないことからくる熱中症。若い人や女性で、登山に慣れていない人が睡眠不足で行動を起こすことによって起こす過呼吸症(季節に関係なく) これらの他に、自然がもたらす雷事故や台風の通過による事故などによって多くの人が犠牲になっている。しかし、自然がもたらす雷にはその兆候がある。

山での雷発生の兆候は
 ①朝、外の空気が肌にまつわるような感覚。
 ②晴れているのに、空が白っぽく感じる。
 ③朝から積雲がみられる。
 ④遠くの山が近くに見える。

「発生を促す気象条件」として
 ①前線を伴わない低気圧の接近。
 ②日本海を前線が南下している。
 ③日中、晴れて著しく気温が上がる
 ④朝から湿度が高い。
* ①及び②は、上層や背後(低気圧や前線の西側)に寒気を伴っていて、 有な線が近づいてくると、大気が不安定になり積乱雲が発達しやすくなる。
「もし標高の高い稜線上で、近くに積乱雲が発生したら」風向きに注意。風が自分に向かって吹いてくるようなら、即刻低い所へ避難。
「もし、すでに稲妻や雷鳴が発生していたら」稲妻と雷鳴との時間差を計る。
その感覚が10秒以内だったら、有無を言わさず避難。
突起物「ストック・ピッケル」などを絶対振り回さない。
周囲より高いもの「尖がった岩峰、高い木」などから離れ、少しでも低い所へ逃げる。
*音の速さ、毎秒3 4 0 m・・感覚が10秒の場合、雷本体は3 , 5 k m以内夏山で雷事故の当事者にならないための予防策は他にもあるでしようが、何より、雷が発生する時間帯(午後2時以降)にはその日の行動が終了する、余のある計画で登山を楽しむことが寛容です。
                 参考資料:山岳気象大全(山と渓谷社)

 

名山クラブ通信8月号

2 0 1 9年8月号(VO L 2 0 1 )

発行 登山ガイド事務所カメラード
主宰 佐藤健二(JMGA認定G)  

山の話あれこれ」・  ・所在不明

FKK主催の登山ツアーのバス移動中、ガイド仲間のsさんのスマホが鳴り響く。静かに話したsさんによると、一か月前に宿泊した銀山平の宿泊先に残した登山届(計画書)を閲覧した、栃木県警日光警察署地域課からの「遭難者の関する問い合わせ」とのこと。
時を同じくして登った庚申山から、千葉県在住の男性(単独行)登山者が遭難したらしく、その情報収集らしい。最近ではよほどの遭難事故でない限り、ュースにもならなくなった山の遭難事故だが、遭難事故が無くなったわけではなく、毎年三千件を超す救助捜索依頼が警察に寄せられている。
その救助捜索の内容は、依然として「道迷い」が半数を占め、その都度登山計画書の提出云々がアナウンスされるが、登山計画書を提出したからと言って事故が無くなるわけではない。しかし、登山計画書を作成することは事前に地図 (地形図)を見(読み)、自分が上るルートの情報を得ることで机上登山を行うことができ、登山計画に無理はないかの判断が可能になる。
ということは、登山計画書の作成自体に意味があり、作成することが事故防止につながるのではないかと思う。そして、登山計画書を作成したら、大概の人はその計画書を家族に渡すものだ。
登山口にある登山届ポストの溢れるばかりの登山届を見ると分かるように、普段はポストを開けて届書を見ることはない。家族や知人からの捜索依頼がない限りポストを開けることも、警察が行動することもない。
sさんが庚申山に登って一ヶ月後の情報提供依頼から想像するに、遭難者は登山計画書の提出も家族に行き先さえも伝えていなかったんだろう。
庚申山の遭難からやがて二ヶ月。本人の無事は無いだろう。本人の生死が確認されない以上、保険金も支払われることは無い。家族は精神的にも金銭的にも途方に暮れるだろう。
昨今、個人情報や何やら理屈をつけ、人と人との繋がりが薄くなっているように感じる社会の中ですが、せめて自分の家族にだけは所在を明らかにし、家族に心配をかけない。どんなに疲れていても、楽しかったよ。無事下山したよ。
くらいは伝えてほしい。この一言が次の行ってらっしゃいに繋がるものです。

名山クラブ通信7月号

2 0 1 9年7月号(VO L 2 0 0 )

発行 登山ガイド事務所カメラード
主宰 佐藤健二(JMGA認定G)   

「山の話あれこれ」・ ・ ・山デート

異常が異常でなくなるような気象が、今年も続いている。
年度代わりを前後して夏日と降雪。その影響だろうか!待ちわびていた山野草の開花が早いのか!遅れているのか解らなくなり、今までの経験が役に立たない。
体内気象は春を感じつつ、山は違うぞと経験がささやく。
しかし、実際に登山装備を整える段になるとこの経験が揺らぐ。経験や山の常識に従った装備を整えると、ザック重量が重くなる。その都度整えたザックから、一つ二つと装備を抜き取るが、それで困ったことはない。しかし、ガイド山行の場合は、装備の大半がクライアントの危急時用なので省くわけにはいかない。花が咲き、名の知れた有名な山や低山トレッキングの参加者は体力も装備も不充分な参加者が多く、この人たちを意識した装備が必要になる。クライアントの多くは登山の初心者。しかしガイドは、不安を抱えながら参加した登山の初心者を安全に、山好きにしなくてはならない使命がある。
先日、全国に知られた高層湿原の広がる国立公園を案内。恒例のトレッキングだが、いつものように参加者の大半は数十年ぶりとかで、若かったころの記憶単なる木道歩きの記憶での装備だったり、訪れるのが初めての参加者は、夏の思い出の歌詞のイメージそのままの装備だったりする。
今回も同様な出で立ちでの参加者に混じって、目を奪う参加者が。
男性の腕にしなだれた女性の足元は、パンプス。腕を貸す男性はスニーカー腕にしなだれているのは、足場が悪いからではない。好い中なのであろう。
多くの参加者の目線を集めるこの二人は、山デート!
山デートは、男にとって頼れる存在を演出する格好の場だが、気象も山デートの姿も変わったようだ。
閑話休題
名山クラブ通信が2 0 0号に。タイトルを変えながら続けてきたが、変わらないのが中身。皆様には目を通す価値もないことは重々承知し、そろそろかな! なん都度頭をよぎります。そんな時「努力とは誰よりも長く続けること」と教えられる。反面「変えなくはならないこと、変えてはいけないこと」が頭に浮かぶ。と、同時に「手まめ、ロまめ、足まめ」の教えが思い出される。

名山クラブ通信6月号

2 0 1 9年6月号(VOL 1 9 9 )

発行 登山ガイド事務所カメラード
主宰 佐藤 健二  (JMGA認定G)

「山の話あれこれ」・・日本百名山

 尊敬するWMC代表が「努力とは誰よりも長く続けること」と言う。
登山を始めて久しくなるが、一筋ではなかった。2 0才前半に始めたゴルフは営業職の特権とばかり、事務所を出ると練習場に直行。その都度1 5 0 0発を打ち続けた。プロゴルファーの青木功が、ダンプ1台分の球を打て!なんて本を出したころです。そして、そこそこに打てるようになるとコース通い。
更に、3 0才半ばに始めたスキーは仕事もそこそこに、ネクタイ姿にツナギのウェアーを着こみゲレンデに。夏場は、スキーの足腰を作るために自転車通勤いっしか自転車の面白さに魅せられ、ロードレース大会やトライアスロン大会への参加。ダメサラリーマンを地で行く趣味主体のサラリーマン人生。これで給料が安いなんてほざくのは本末転倒。
脱サラした4 0才。安くても毎月いただく給料が恋しく感じながら、仕事仕事の日々(仕事と言って毎夜の付き合いを含む)これほど仕事をしたら、そこそこの出世もなんて思っても・・・後のまつり。
病気かもしれない!再開した登山の下山後に立ち寄ったソバ屋が悪い。整理券を手にした客。嬉しそうにお代わりを繰り返す客。お~ソバ屋も好いな!修行を許され、冬の山形路を通う事3ヶ月。しかし、「ソバ屋も」の「も」がいけない。甘くはない。
ここは脱サラした時に座右の銘とした「この道より我を活かす道なしこの道を歩む」を肝に銘じ、生業も趣味も原点帰り。1 0 0名山登頂まで残り4 0 座。年に1 0座を目標に登山再開するが、これが大変。残っている1 0 0名山は遠方でお金も時間もかかる。浮気の付けは重い。
閑話休題
山好きの仲間との酒は山談義に花が咲き、時間を忘れる。が、百名山には興味なし!なんて聞いたら酒が苦くなる。登山の楽しみ方はそれぞれだが、登ってもいないのに興味がないはないだろうと反論したくなる。確かに、登ってみたら? ?どうしてこの山が百なの?と思う山もある。
しかし、これは好みの問題であり、深田久弥が上ったルートと同じとは限らないし、山の環境も変わったはず。大概の百名山はやばり素晴らしい。

 

名山クラブ通信5月号

2 0 1 9年5月号(VOL 1 9 8 )

発行 登山ガイド事務所カメラード
主宰 佐藤 健二  (JMGA認定G)

「山の話あれこれ」・・・乱れた心の先にあるもの

この道に進んで、単なる山好きは多くの出会いと心の触れ合いによって登山の楽しさが広がり、奥深くなったような気がする。
非日常の大自然の中に身を晒す登山は決して安全なスポーツとは言い難く、常にリスクを抱えたスポーツ。そのリスクをクライアントと共有し、リスクのを事前回避することから生まれる信頼感は日常の生活から得る信頼感とは一味違うものかも知れません。
ガイドとクライアントが登山中に考えること。ガイドは、パーティーの安全であり、参加者一人一人の体調や精神状態についてが大半を占める。参加者は、パーティーの歩行ペースを乱れさせないように歩くことに心配る事だろうと想像する。しかし、この気配りも登山道が急峻な上りになり、登ることに全力集中するとき、急峻な下りで足元が不安定な場所など状況が変わると同時に、精神状態も変わる。特に、読図が苦手な人が初めての山やルートを登る場合、ルートの先が読めず、体力や脚力に不安を感じだすと全体のペースと自分のペーストの折り合い、どこで一息入れるかに心を奪われる。
日常生活の中では背負うことにない重いザックがより重く感じるこの時の状態では視線は足元だけを見、周囲の景色も足元に咲く草花は目に入らなくなる。
当然、次の一歩を置く場所は安定さを欠きますます疲れ、全体のペースが恨めしくなり、不満が澱のように溜まってくる。逆に、体力のある人や脚力のある人にとって、ゆっくりペースに飽き集中力が薄れてくる。
ヒマラヤの高所登山のような極限の登山をする登山隊ではないが、このような精神状態になると、国内の低山でもパーティーの結束力にひびが入る状態で、後味の悪い登山になりかねないが、グループ登山ではよくある事。
しかし、それらの葛藤を解消できるのが登山の魅力でもあり、山頂に着けば霧が晴れるようにモヤモヤが消え去り、遅れた人を拍手で迎える。遅れた人の顔には笑みがこぼれる。
各地で山開きの季節を迎えました。ーっの目標に向かって、ある人は足早に、ある人はのんびり花を楽しみながら。百人百様の楽しみは、自然と他人に対する思いやるゆとりが大切。イライラせず、登山を楽しみましよう

 

名山クラブ通信4月号

2 0 1 9年4月号(VOL 1 9 7 )

発行登山ガイド事務所カメラード
主宰佐藤健二(J MGA認定G)

「山の話あれこれ」・  ・中高年者の錯覚

1 0年、2 0年と楽しい交流を続けている山仲間は宝物かも!でも、その山仲間が自分の体力の衰えを隠しもする。仲間全員が同じように年をとり、体力低下していくが、同年代に囲まれ続け「〇〇さんは体力あるよな~あ」「いやいや、〇〇さんには負けますよ!」なんていわれると、つい体力があると思い込み、自分は心身ともにまだ若いと錯覚し、自信過剰に。
実際、いつもの山仲間の中では体力があり、仲間のペースに合わせてゆっくり歩くことはあっても、必死でついて歩くようなことはなく体力に自信がある人ほどその気になる。とはいえ、2 0代の頃の体力と比べると、一般的に5 0 ~ 6 0才代の体力は半減している。山行での荷物は回を追うことに軽くなり、重い荷物を担ぐ機会は年に数回あるかないか。また、以前のコースタイムで計画しが、大幅にタイムオーバーなんてことも。
瞬発力やバランス感覚も劣り、いっしかトレッキングポールは必需品になっている。
この年齢の人たの多くは、気の合った同年代の仲間と登山を楽しみ、中高年登山者の核を形成している。裏を返すと、若者たちとの山行機会が少なく、体力の比較対象者は常に同世代の人たちに限られ、錯覚するのも仕方ないか!
また、この年代の人の単独行の登山者に共通する理由は「誰にも迷惑をかけすに自分のペースで歩ける」からだと言う。確かに一人静かに、のんびり登山の良さは分かりますが、要は屈辱を味わうのが嫌なだけかも。仲間と登っていても、何時しか櫛の歯が抜けるように仲間が減っていき、結局一人登山になるかも知れません。が、体が丈夫なうちは登山を続けたいと思うなら、仲間と登る楽しさを知りましよう。若い人とは体力も違うし、付いていくのがやっとで花に触れ合う時間もないかもしれません。その時は、あなたの登山経験を活かした無理のない登山計画と、ならではの登山の楽しみを伝えてみてはいかがでしようか。
そう言う私も立派な中高年。自覚はしているつもりだが、若いつもりでいるようだが立派なオジサン。その気になっていないで!とカミさん。
また、山のことだけ考えてストレスはないでしようから、長生きしそう!なんて言われる。長生きは別として、それなりに若さ(健康)を保つことは安全登山の基本。若いときは考えもしない事を考えるのは、まさしくオジサンの証拠です。

 

名山クラブ通信3月号

2 0 1 9年3月号(VOL 1 9 6 )

発行 登山ガイド事務所カメラード
主宰 佐藤健二(JMGA認定G)

「山の話あれこれ」・  ・ヒャリハット

時間にすると1秒もなかっただろう。その間、物心着いてから昨日までの出来事が走馬灯のように脳裏を駆け巡る。ピーンと張られたザイルに揺られ、手の届く距離の岩肌が掴めない。頭上には撃ち込まれたハーケンが鈍い光を放っている。
オーバーハングを乗り越そうと、アプミをセットするためのハーケンを岩の割れ目に撃ち込む時、バランスを崩し転落。技術も経験も不足していた。
たかだか5m。これは無事だったから言えるが、5mは死の入り口。
5 0年前のヒャリハットです。
見上げる青空に雪煙が舞う。長いラッセルを終え、強風にあおられる稜線をどうにかクリアー。矢筈森の東斜面は風こそ遮られているが雪面は硬く締りアイゼンなしでは心持たない。仲間の女性にアイゼンを提供したのが間違い。
最後尾をトラバースし、安全地帯で待つ仲間に合流するまであと一歩。
前触れもなく足が流れ滑落が始まる。頭が下方になったり上を向いたりしながら滑落スピードが上がる。雪面を見上げると、リーダーがグリセードで滑り降りてくる。5 0年前のヒャリハットです。
ヒャリハット。産業界で使われていた事故防止用語だったと記憶する。
事故には至らなかったが、予兆としての「ヒャリ」とした事や「ハット」した数が多いほど事故を起こす確率が高まることを指摘している。
登山でも、何でもない場所でバランスを崩し、ヒャッとしたり転んだりすることがある。その「ヒャリハット」が多ければ多いほど、事故に繋がる確率は高まる。さらに、事故の回数が多くなるほど重大事故に繋がる確率が高まる。
なんでもなかったからいいや!ではなく、なにが原因でヒャリとしたのか!
その要因を突き詰め、改善することが大事です。
安全対策に「これで良し」はありません。貴方の安全はパーテーの全体の安全でもあります。

安全安心で思い出つくりのお手伝い「登山ガイド事務所カメラード」

名山クラブ通信2月号

2 0 1 9年2月号(VOL 1 9 5 )
発行登山ガイド事務所カメラード
主宰   佐藤健二(JMGA認定G)

「山の話あれこれ」・  ・ヨチヨチ歩き

予測が出来れば事故を未然に防ぐ手だてもあろうが、えてして、なんでそんなところで!や,どうして?と予想外の場所で事故は起きたり、起こしたりする。

昨年の山学校実践教室では、事故ではないが「山って何」との質問が。これも、予想外だった。今年も1月1 1日に始まった「大人の山学校ュルュル登山教室」での予想外の質問が。内容は、登山案内書やツアー募集案内書にある「初級・中級・上級」等のレベル判断についての判断基準や、ツアー主宰者は何をもって判断するのか!

確かにツアー案内書に、ルートレベルの参考に「初・中級・上級」等のレベルを表示するが、参加者のレベルと間違いやすいく、参加してもいいのか迷うし、自身が自分がどのレベルかの判断は難しいかもしれません。

山での事故がニュースになる度、登山歴が〇〇年や海外の山にも登っているべテランなどと伝えられるが、その登山歴が「登山者レベル」イコールではないだろう。

登山ガイドの私だって海外の山に行けば初心者だろうし、登山歴〇〇年と云っても、いつも連れて行ってもらうだけの人。年に数回の登山を何十年続けようが、その人達のレベルは初級者レベルと変わらないだろう。むしろ、地図にルートが記載されていない山や案内標識もなく、作業道が交じり合うルート判断の難しい低山(里山)を、,地形図片手にルートを確認しながら登る人は,技術的にも安心できる上級の域に達しているのではないかと思う。

また、いくらべテランの上級レベルの人でも年齢を重ねるごとに体力は衰え、以前のコースタイムでは歩けなくなるし、こんなに距離が長かったのか!と体力の衰えにガッカリする。これでは体力的には初心者レベルに等しい。

登山の楽しみ方は百人百様。ツアーに参加し一人では行けない峰に登るのも、低山で花を楽しむのも、仲間内でワイワイしながら楽しむのも好だろう。どのようなレベルの人に対しても自然の環境は平等。突然の雨も降れば風も吹くし、初心者だからとルートが楽になるわけではない。

昨今の異常気象。特に昨年の列島を立て続けに直撃した巨大台風は、地球上の長い歴史の中では決して異常ではなく、単に人間の短い歴史で判断しているだけかもしれない。そのように考えると、自然の中では誰もがヨチョチ歩きの初心者かもしれないと思わせる質問でした。

名山クラブ通信1月号

平成3 1年1月号(V〇L 1 9 4 )
発行登山ガイド事務所カメラード
主宰 佐藤健二(JMGA認定G)

「山の話あれこれ」・ ・アンナプルナー2

本格的な裏ルートに踏み込んで三日目。ロッジを覆っていたガスが気温を下げ、3 6 3 7mのマルダイピークへの登山ルートは硬く染み込み、ヤクの糞も石ころ状態。それほど興味のない日の出だが、日の出と共に温かさを感じ、雲を突き破った鋭鋒が染まる様には感動を覚える。当に大自然の素晴らしさであり尊さを感じる。
そして、裏ルートの本番が始まる。ルートには、工べレスト街道のような華やかさも次々と現れるヒマラヤの峰や眺望、行き交うトレッカーの姿もなく、ただただシャクナゲの木に覆われた山肌のアップダウンを繰り返すが、これが好い。突然現れるヤクは人間が珍しいのか、じっと見つめている。路傍には独特の色と形の草花が。
北海道からの参加者二名とこれらを楽しみながらピスタリーピスタリー。先行する参加者たちが視界から消えても焦ることはない。分岐に差し掛かっても、事前に読み込んだ地図がある。
Kholangkhola(コーラング川)まで標高を下げ、システパーンのロッジまで登り返して、今日の行程は終わり。川を渡ったら1時間強だろう。
四日目。壁のように立ちはだかる稜線上は、ルートの最大の眺望地であり、目的地。
8 0 0 0m越えのアンナプルナやダウラギリが待っているはずだ。
そのコプラダンダのロッジには、標高差9 0 0mはありそうな壁を登らなくては行けない。吹き出す汗がメガネに滴り、体も汗に濡れる。休憩の度に重ね着をして体温の下がるのを防ぐが、体温管理が難しい。いつものように汗をかかない、かかせないペースに戻そうとするが、脱落したと思われてはプライドが許さない。今更、昨日のピスタリーペースには戻せない。それにしても、ハイベース。先頭を歩く現地ガイドのペースは意地悪しているのか、速さを自慢しているのか・・・・
谷を一つ隔て、目の前にアンナプルナが聳えている。空気が澄んでいるせいか、すごく近くに見える。なんか、登れそ~ 。なんて思ったら、悪寒が。トレッキング四日目。工べレスト街道でもそうだったが、疲れがでるころ。ククリをお湯割りにして体の内側から暖める。明日はアンナプルナを眺めながら、アンナプルナサウスに突き上げる稜線上にたたずむファーストレイク( 4 0 0 0m)までのトレッキング。ダウンするわけにはいかないのだ。
今回のトレッキングは、登山ガイドとしてのサービスのあり方を改めて感じることができたもので、参加者の皆さんに感謝です。ありがとうございました。

ー安全安心で思い出つくりのお手伝い「登山ガイド事務所カメラード」

名山クラブ通信12月号

平成3 0年1 2月号 (V〇L 1 9 3 )
発行登山ガイド事務所カメラード
主宰佐藤健二(JMGA認定G)

「山の話あれこれ」・ ・アンナプルナー1

山は逃げない・ 。折角来たのだからと悪天や体調不良にも係わらず、登山を続けるような無理はするな!登山断念の悔しさを慰める言葉だろうが、年を重ねるごとに山が逃げていく。
不思議なもので、第一線を退いて自由な時間を得たつもりが、体力の衰えと気力の衰えが決断を鈍らせ、ついつい目先の野暮用に逃げ込む。自ら逃げ出しているようなもので、その内誰も誘わなくなり、山は遠くなる。
行くと決めて4ヶ月。年金暮らしにはきつい出費だが、人生楽しまなくちゃ!
思い切って行かないと、長年の夢である6 0 0 0m峰は夢のまた夢に。亭主元気で留守が好いのだ。
それにしてもきつい一日。午前2時のバスに乗り、カトマンズのホテル着が午後1 1時過ぎ(日本時間で午前2時過ぎ)。翌日は1 1時のフライトに合わせてホテルを出発。午後はポカラ観光と荷造り。いつでもどこでも寝れる神経と、体力勝負が始まる。慰めはヒマラヤの大展望とククリ(ラム酒)のお湯割り。
地図に記載されたki皿ト。(キムチェ)町?は、数件の民家兼ホテル(ロッジ)があるだけ。ポカラのホテルからここまで4時間。田舎のバスは~おんぼろ車・デコボコ道をガタガタ走る~を地で行くような移動は、ウトウトさえ儘にならない細く曲がりくねった山道。
いよいよトレッキングのスタート。今回の参加者には8 2才になる男性と女性(女性は、個人ガイドを雇っての参加)や、登山歴が浅く海外旅行が初めての 6 8歳の女性と幅広いメンバーが。しかも、今回のルートは入山者の少ない裏ルートが売とのこと。 ・すごいですね~ !
満開のサクラに山肌を覆いつくすシャクナゲの巨木。ヤクや水牛の糞を踏まないようにピスタリービスタリーと歩くが、落ち葉に隠れた糞は厄介。今日の行程は約5時間。ロッジに着く頃は暗くなるだろうな!
この日に出会ったトレッカーは2名(英語圏の老女? )逆ルートからの下山者らしく、ほっとした雰囲気に包まれると共に、仲間意識に片言の雑談。私は無論、彼らも初めてのルートらし。

(トレッキング本番はVOLI 9 4 ( 1月)に続いて紹介します)

名山クラブ通信11月号

平成3 0年1 1月号(V〇L 1 9 2 )
発行 登山ガイド事務所カメラード
主宰佐藤健二(JMGA認定G)

「山の話あれこれ」・・・雷

連峰の主峰であるオキノ耳と標高が同じ茂倉岳だが、そのピークは歩いてきた稜線上のピーク、トマノ耳やーノ倉岳と比べると地味なピークだ。目の前に聳える武能岳と、分岐道標が無ければ山頂とは知らずに通り過ぎるかもしれない。
そんな茂倉岳から武能岳に登るには、一旦笹平の鞍部まで下り、登り返さないと行けないし、今日の宿泊小屋にも行けない。
ここから宿泊小屋の蓬ヒュッテまで後一時間強だが、急峻な西黒尾根を登り、主稜線に露出した蛇紋岩に足を滑らせながらの縦走に、体力は既に限界だった。武能岳の登り返しが恨めしく感じた。後からくる仲間の二人も足取りが重そう。とりあえず笹平までと奮い立たせ、鞍部で二人を待っことにして一足先に進む。笹平まで1 0分程度だったと思うが、記憶のいい加減さに驚く。地図を確認すると3 ~ 4 0分はかかっている筈。
下りの中間あたりに二人を確認する目に、万太郎山と仙ノ倉山を結ぶ稜線上に湧き上がる、渦を巻くような綿あめ状の雲が。そして生暖かい風が吹き抜ける。雷鳴こそ鳴り出していないが、二人が合流した時には今までの青空が嘘のような暗雲に視界ゼロ。ピッケルが反応し、Yさんの頭髪が逆立つ・・・
と同時に、ドッカー ・・ピカー・・ 話には聞いていたが、本当に雷が下から横から、息もつけない間隔で飛び交う。雷雲の真っただ中で雨具を着る時間さえない激しい雷雨。今でこそ、金属が雷の直撃とは関係ないと云われるが、ピッケルを投げ出し、三人三様藪の中で身を低くするのが精一杯だった。
雷雲(熱雷)の活動時間はわずかといわれるが、藪の中で寝てしまった私は、雷が収まったのも解らず、仲間に起こされたっけ。
藪の中で休めたのか!雷で心身ともシャキッとしたのか!定かではないが、二人は私を置いて駆け出す。重そうにしていた足は元気そのもの。対して、寝起きでシャキっとしない私は足が重い。回復した青空に名残の雷鳴が、遠くでゴロゴロ鳴いていたつけ。2 0数年前の思い出です。
*確認すると、茂倉岳と蓬ヒュッテ間の標準コースタイムは2時間1 0分。
記憶のいい加減さを感じています。

安全安心で思い出っくりのお手伝い「登山ガイド事務所カメラード」

名山クラブ通信10月号

平成3 0年1 0月号(V〇L 1 9 1 )

発行 登山ガイド事務所カメラード
主宰 佐藤健二( J M G A認定G )

「山の話あれこれ」・ ・マージャンと無賃乗車

毎週のように鉄山の岩場で楽しんでいた。くろがね小屋を見下ろすと、多くのハイカーが見上げている。見られていることに優越感を感じていた。
谷川岳に誘われたのは1 0代の後半だった。目的はマチガ沢の岩登り。書物や先輩の話によると、一ノ倉沢や幽の沢に比べれば特段難しい岩場はなく、初級者向きとの事。
夜行列車に乗り、土合駅に朝一着。尾根ルートなら、その日に登り、その日に帰る夜行日帰りが可能な岩の殿堂、谷川岳。初級者向きとは云え、谷川の岩場、断る理由はない。高校の先輩夫婦と同級生の0君に初級者の私。日程は三泊だった。
清水トンネル内の下りホーム。登山者の多くがここで下車。多くが、地上に出る階段を駆け足で登る。大半がキセル乗車で、改札が開く前に駅舎から出るらしい。駅舎を出ると外は雨。マチガ沢も一ノ倉沢も雲に覆われ、岩壁は衝立岩の基部が見えるだけだった。
初級ルートとはいえ、濡れた岩場を登るわけにもいかず、この日は巌剛新道を登りマチガ沢上部の偵察に向かったが早々に下山。土合駅前の旅館にしけ込む。山談義もそう長くは続かず、列車内でマージャン本を読んでいた先輩が牌を借りてくる。雨が上がるまでと始めたマージャンだが、接近する台風で雨は降り続ける。普通なら、諦めて帰るのだろうが、一向にその気がなかった。
雨が上がるのを待っているのか、マージャンが面白く止められなかったのかは忘れてしまったが、ようやく腰を上げたのは雨が上がった翌日の夕方だった。ひと風呂浴びようと水上温泉に向かうが、駅舎が留守のことを好いことに無賃乗車。が、水上駅で駅員に見つかり、大目玉。結局、温泉にも入らず旅館に戻ったのだろうが、その後の記憶は無い。
山の思い出にはいろいろな事があるが、マチガ沢に登れなかったことより、山でマージャンの楽しさを知ったことと、無賃乗車で捕まった事が忘れることのできない谷川岳は、5 0年も昔の思い出です。

安全安心で思い出っくりのお手伝い「登山ガイド事務所カメラード」

名山クラブ通信9月号

平成3 0年9月号(V 0 L 1 9 0 )

発行 登山ガイド事務所カメラード
主宰 佐藤健二(JMGA認定G)

「山の話あれこれ」・ ・飯豊連峰

磐越道を利用するとき、必ず眺める山がある。雲の隠れて見えない時も、明けの明星が輝く時間でも。そのたび思い出す。何もかもが初めてだった。
飯豊連峰の入山はもとより単独縦走も山小屋に泊まるのも、駅から登山口までバスに乗るのも・ 。磐越西線山都駅に降り、川入集落に向かうバス停が解らずウロウロしていた。バス停は一つしかないのに川入集落といっても登山口に集落はなく、人の後を追いかけ長坂尾根の登山口へ。緊張していたのか、前を行く人が速いのか、歩くスピードが速かった。長坂尾根に入ると足が動かない。息も絶え絶えの登りが終わったのは、小屋とは名ばかり、四隅を萱で囲っただけの地蔵小屋だった。体の疲れは小屋のみそぼらしさに負け三国小屋に向かうが、飲み水が足りなく水場に向かえば、蛇が浮いていた。
三国小屋。地蔵小屋よりマシだが、ギュウギュウ詰めの小屋は人息で蒸し暑いうえに野ネズミ?が寝袋に入り込み、動き回っていた。いよいよ縦走の始まり。岩場の基部を横向きで歩くが、重いキスリングが谷側に引っ張られるようで怖かった。切合小屋前に広がるキスゲが何とも綺麗で、元気をもらったっけ。
その日の予定は大日岳を往復し、御西小屋に宿泊だった。しかし、御西小屋はドラム缶を半切りにして被せたような小屋?床は地べた。大日岳往復は諦めたが、なぜかホッとした感じを思い出す。梅花皮小屋へ向かう縦走路は青空の下に広がる花と残雪の白さが綺麗だった。
梅花皮小屋。大きくて立派だった。半面、その大きさが居心地を悪くした。利用者がゆったりとしたスペースを確保し、自分の寝場所を確保するのち躊躇する。外でタ食の準備をしながら様子を伺うが、先着者のすべてが大人達で気後れする。声をかけてもらわなかったら外に寝ただろうし、そのつもりになっていた。
登山の素晴らしさの一つに、生涯の思い出として残ることにあるが、飯豊の思い出はまさに半世紀を過ぎても心に残る思い出です。

安全安心で思い出つくりのお手伝い「登山ガイド事務所カメラード」

名山クラブ通信8月号

平成3 0年8月号(V 0 L 1 8 9 )

発行 登山ガイド事務所カメラード
主宰 佐藤健二いMGA認定G)

「山の話あれこれ」・・・キスリングの思い出

日付も変わる深夜、松本行のホームはごった返していた。楽しそうに並んでいるが、誰もがいち早く乗車し席を確保しようとする顔。とにかく女性二人の席を確保するべきとは思うが、初めての新宿駅に戸惑っていた。荷物棚を確保する者、早々と通路に新聞紙を広げ、寝場所を確保する者。車内は北アルプスを目指す人で満席も満席。どうにか女性二人分の席は確保したが、私は通路に。空が白みだすころ車内はざわっきだす。松本駅から島々駅に乗り換える準備が始まっている。そして島々駅に着くと、上高地行きのバスをめがけて走り出す。

GWの記憶はないが、お盆休みが唯一の連休。この時期を逃すまえと山好きが穂高を目指し、何もかもが混雑していた。その極めつけは奥穂高山荘だった。

横尾山荘に一泊し、翌日のお昼過ぎに奥穂高山荘についた我々は、予約をしていた事で昼寝が出来、景色を楽しみながらタ食の準備をしたが、次々とやってくる登山者で山荘は立錐の余地がない。廊下はもとよりトイレまで人でいつばい。この人たちが寝棚に落ち着いたのは、これ以上登山者が来ないと思われる時間だった。頭、足、頭、足と交互に寝かされ、挙句の果てに体を横向きにされ、山荘の従業員に後ろから押される。標高3 0 0 0mの山荘が、人息で暑苦しい。でも寝たんだろうな!

山荘を出ると直ぐに始まる岩場。鉄梯子を登って岩場を回り込むがキスリングが岩に引っ掛かる。

背中は滝谷。泣こうが喚こうがこを通過しないと山頂には行けない。

1 9 7 2年8月( 4 6年前の思い出) 同行者佐久間・大越

安全安心で思い出つくりのお手伝い「登山ガイド事務所カメラード」

名山クラブ通信7月号

平成3 0年7月号(VOL 1 8 8 )

発行 登山ガイド事務所カメラード
主宰 佐藤健二(JMGA認定G)

「山の話あれこれ」・・・また逢う日まで

あの頃は休みも少なく、金もなかった。たまの休みは安達太良山だった。

登山を始めて数年がたち、登山が楽しくて仕方がなかった。積雪期の登山を始めたのも、岩登りの楽しさを知ったのも安達太良山だった。転落や滑落を経験したのも安達太良山。もちろん、山デートも。

あの時は、堀井さんがリーダーの越年登山だった。仕事の都合だったか、登山口の岳温泉に着いた時は日も暮れ、雪がチラついていた。

キスリングが重く、集合場所の郡山駅に着いたときは息も上がり、ホームの階段が辛かったことが蘇る。くろがね小屋脇に家型テントを設営したのは日付が変わる時間だった。テントに入りほっとしたのもつかの間、ホエプスの予熱用のメタが目に沁み、涙が溢れ出た。新人に待っているのはテントの雪下ろし。

この夜は眠ることが無かったと記憶する。若かった。

今日は大晦日。早々にデポして置いた食料の入った一斗缶を回収。有り余る時間はピバークの訓練だらたか。その時に作ったイーグルで一晩過ごすことにした私は、アメリカ軍の放出物のシュラフに潜り込んだが、下に何を敷いたか思い出せない。夜も更け、ラジオから流れていたのが、この年の日本レコード大賞受賞曲の「また逢う日まで」だった。4 7年前の思い出です。

山行年月日   1 9 7 1年1 2月3 0日~1 9 7 2年1月1日

安全安心で思い出つくりのお手伝い「登山ガイド事務所カメラード」

名山クラブ通信6月号

       平成3 0年6月号(VOL 1 8 7 )

発行 登山ガイド事務所カメラード
主宰 佐藤健二( J M G A認定G )

「山の話あれこれ」・ ・ケガと弁当は

降雪量の多い山域では、雪解けと山野草の開花が競っている。沢筋の水芭蕉、登山道沿いにはニリンソウやエンレイソウ、木々ではコプシに混じってオオカメの木や山ツッジが日差しの中、柔らかい風に揺れている。これらの花々をより一層色立たせるのが新緑であり、梢に見え隠れする残雪の山々。春は四季の中でも、もっとも躍動感に満ち溢れている。

そのような山の楽しみを兼ね、登山教室の下見山行での出来事です。

急峻な沢筋の斜面をトラバースする登山道は残雪に覆われ、見るからに危なそう。下見山行の気楽さにアイゼンどころか、補助ザイルも持ってきていない。

滑落と踏み抜きに注意しながら慎重にトラバースを始めると、前方を歩いている小学生と思われる子供か滑落。その距離3m。父親でしようか、盛んに励まし登らせようとするが、その都度運動靴は滑り、恐怖心に囚われた子供は動けない。

それなりの装備を持っていれば助け上げる事も出来るが、足元が覚束ない。その場所に立ち止っていることさえ不安定な足場ではどうしようもない。やむを得ず足場の安定した場所へ移動し、状況を警察へ連絡はしてみたものの、途切れ途切れの電波とマニュアル通りと思われる対応。二度も三度も聞く現場の場所。挙句の果て、救助要請は受けましたか!父親の携帯NOは?更に、もう一度現場に行って確認できませんか!こんなやり取りを小一時間繰り返す。

山での遭難事故統計を見ると、1日当たりに換算すると、毎日1 0件近くの救助要請が発生している。特に春山は夏山に次いで事故が多く、その対応が問われる。勿論、登山者の心構えが問題になるのでしようが。

そんな山歩きから帰ると、新潟県の五頭山で親子2名と連絡が取れないとのニュースが流れ、いまだ見つかっていない。

各地で夏山開きが毎週のように行われ、どこの山も多くのハイカーで賑わっている。その主催は大概は地元役場の観光課が行い、地元の観光振興の一翼を担っているが、登山に関しての知識は?マークでしよう。参加者には、みんなで登れば怖くない感覚で参加する人も少なくないでしよう。楽しみを楽しかったにするためにも「ケガと弁当は自分持ち」をもう一度意識してみましよう。

-安全安心で思い出つくりのお手伝い「登山ガイド事務所カメラード」

名山クラブ通信5月号

平成30年5月号(Vol186)

発行 山ガイド事務所ガメラード
主宰 佐藤 健二(JMGA認定G)

「山の話あれこれ」・・・山の思い出。

例年にない早さで桜が咲いたをこの調子だと、今年はいつも以上に雪解けも早く.農作業の目安になっていた雪形の出現も早いかもしれないですね.雪形と言えば、最近読んだ「名山の文化史」は.日本百名山を中心に各地の名山の名前の由来や、その山にまつわる歴史や文化を紹介した本ですが、その中に「万葉集にも詠まれた奥羽の名山・安達太良山」には驚かされた。ニ本松市を中心とした安達郡内で呼はれていた俗名の岳山や乳頭山が、猪苗代では沼尻山や硫黄山と呼ばれていたらしい。が、安多大良・吾田多良・阿多多羅・安達太良山などで表記きれてきたアダタラ山は、漢字が日本記の表記に用いられる以前から「アダタラヤマ」であったとの事。しかも、山名由来の一つ「アタタ」はアイヌ語で乳と云うところから。また連峰の峰々を兄弟になぞらえ、主峰を安達太郎とび、訛ってアダタラ。更に、火山であり、大きなフイゴを意味する踏鞴(タタラ)との関係などなど諸説があるようで、興味が深まる。
その安達太良山の中に雪形が現れるらしい。ご存知でしたか!「粟まき法師」と評ばれている雪形とのことで、初夏にかけて現れるらしい。最近こそ年に一度も登れば良い安達太良山ですが、若い頃は春夏秋冬、毎週のように登っていた。が、雪形の話は初耳。是非とも確認したいものです。
また同書の「穂高岳」を読み進めると、私が住む旧安積都(郡山市)は、長野県の後立山連峰の麓に広がる安曇(あずみ)から来ているらしく、安積(あつみ)に始まり、時代を経てアサカに呼び方が変わり、現在に至っている可能性を秘めているとの事。想像するだけでも楽しく、ロマンを感じる。
閑話休題
その若い頃に楽しんだ安達太良山の写真が出てきた。 50年前の写真です。 自黒もカラーもセヒア色に色褪めしているが、キスリング姿や当時の山行にまつわる思い出が蘇る。夜中のテントの雪下ろし、家から郡山の駅に着いたときは荷物の重さにパテテしまったこと、山に呑まれ、下山はかり考えていたこと、バスの車中で「気をつけてない!」とオパサンに声をけられたこと・・・折角だから、山人生の軌跡としてまとめてみようか・・・! で、誰が管理するの!!とカミさん。男のロマンと女の不満のさや当ては、晩酌の肴にもなり酒が進む。

――――安全安心で思い出つくりのお手伝い「登山ガイド事所カメラード」--

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